クラスの育ちから

《年少組》子どもの触れ合い
砂場で山作りをしていたある日「うーんもっと山を大きくするには準備運動が必要だ!!皆こうやってみて!」とA君がぐるぐると腕を回し始めた。それを見て、数人の子がまねをする。屈伸など本格的な運動から、時には「目の運動です。」と目をパチパチさせたり「鼻の運動!」と息を吸ったり吐いたりと面白い顔の運動も。真剣に鼻を膨らます皆の顔が面白くお互いの顔を見合わせ笑い合う。そんな楽しそうにしている姿を見ると、始めは見ているだけだった子も「入れてー!!」と次々加わり、気付けばクラス全員での準備運動となって行った。その日から、他の遊びや、運動会の練習でも、誰からともなく、「準備運動してパワー溜めよう!」と声が上がる様になり、始めはA君中心だったこの運動も、様々な子が声を出す様になった。「じゃあ次おなかの運動!ポンポコポーン!」とおなかを叩けば、皆笑ってまねをする。自分の考えた物を友達が受け入れ、まねをしてくれると、それだけで嬉しくて、又次を考えたくなる。今まで中々皆の前で発言できなかった子も楽しい雰囲気の中だと自然と言葉が出る様になってきた。しかし中には「えーっと、うーっと次は…」と考えが浮かばず、言葉に詰まってしまう子もいる。そんな姿を見れば、すぐに「どこにする?」「手とか足とか何でもいいんだよ。」と友達を気遣い声を掛け見守っている。今までなら自分が言いたいという気持ちが、前に出てしまっていたが、友達を思いやる姿に成長を感じ、嬉しくなる。そして、ようやく「ゆっ指の運動!」と言うと「いいねー!」「こんな感じ?」と、友達の発言を受け入れ、また皆でやってみる。そんな些細なやりとりも、子ども達にとっては大きな自信に繋がるのだ。この準備運動、今では他クラスまで教えに行く程広がりを見せている。この様に、毎日自分達で楽しい事を見つけ、仲間と遊ぶ楽しさや嬉しさを共有しながら過ごしているうさぎ組である。

《年中組》壁面製作
壁面製作で『ぶどう』を作っていたある日のこと。色画用紙を1人6枚選ぶため私はグループごとに順番に取りに来てもらうようにした。「トラグループ取りに来てね~。次はいちごグループ。」と全グループを呼び終えたとき、どこからか泣き声が。周りを見るとAくんが泣いている。「どうしたの?」と皆がかけ寄り問いかけるが、Aくんから返答がなく困っている子ども達。「欲しい色の紙がなかった?」「何か分からないことあった?」「それともどこか痛いの?」「もしかしてお母さんに会いたくなっちゃったの?」などと様々な質問を投げかけ気遣っている。しかしAくんは頭を横に振るばかりで理由が分からない。そんな中、Aくんが色画用紙を1枚も持っていないことに気がついた子が「ねぇ、もしかしてまだ紙もらってないの?」と聞くとこくん頷くAくん。「なんだ!そうだったのかぁ~。」と皆、理由が分かり一安心!これで解決したかと思ったが実はまだだった。「Aくん、何グループ?」「…それが…忘れちゃったの…。」「えー!!」と驚く子達。しかしずぐに「Aくんトラグループじゃなかったっけ?」「あれ、いちごグループ??」と皆で話し合うが曖昧な答えが飛びかっている。見守っていた私もそろそろ出番だと思い声を掛けようとした時、1人の子がすくっと立ち上がりスタスタと当番表のかかっている所へ。そして当番表の中からAくんのを見つけ出し「Aくんはトラチームだよ!」と皆に伝える。「やっぱり私と一緒だったね!」「さっきトラチーム呼ばれたから、紙もらっておいで!」「もうこれでAくんはトラチームってこと忘れないでね。」と、仲間達に後押しされ無事解決。色画用紙を選び終えたAくんは「皆ありがとう。」とお礼を伝えるとともに、安心した表情に変わっていた。それからは様々な所で「手伝おうか?」「ここどうやるの?」などと友達同士で助け合いながら皆、自分のぶどうを作り上げていった。
2学期になり、クラスの仲間関係がぐんと深まり、助け合う姿が沢山見られ嬉しく思う。そして子ども達だけで解決するのが難しいことも、こちらが少し手助けすることで解決できるようになってきた。そういった経験を積み重ねることで子ども達だけでできるようになる。そんな日々の成長を側で感じながら、これからも援助していきたい。

《年長組》リレー
2学期に入り運動会に向け年長4クラス合同でリレーの練習を行う様になった。3回練習をした時点でたか組は全て4位。するとある子が「どうしたら1位になれるんだろう?と声を上げた。そこで各自速く走れる方法を考えてきて作戦会議を立てる事になった。次の日になると「昨日お母さんと速く走る方法調べてきた!」「私もお兄ちゃんに聞いてきたよ。「僕は〇くんが速いから走り方見て研究した!」「早く皆に教えてあげたいな。」と持ち寄った秘策で話題は持ち切りに。
作戦会議を始めると「手を大きく振るんだ。」「足は踵からつけて走るの。」「手はパーにして振ると良いんだって!」「でもパーでバトン持てるかな?」「そうだね…じゃあ片方はグーにしよう。」「0K!」「体は真っ直ぐじゃなくて少し前に曲げる!」「あとカーブでは体を傾けるんだって。あんまり傾けると転ぶからこの位ね。」と実践して見せる子を見て皆も真似る。「この位?」「もっと倒して!!」その姿が可愛らしく思わず私は笑ってしまうが本人達の表情は至って真剣だ。「皆すごく考えてきたね!」と私が言うと「うん!これで明日から練習して頑張るぞ。」「おー!!」と気合いは十分。その日から遊びの時間に何度も1番に園庭に出てはリレーを行い合同練習に臨むも3位、4位と結果が振るわない日々が続いた。3位に上がった時は次は2位だと意気込んでいた子ども達だったがまた4位になり落ち込み始めていた。思わず私も「皆がすごく頑張ってる先生は知ってるしリレーだけじゃないよ。たかさんは歌も上手だし踊りも力一杯だから、他の事で1番とれるよ!!」と励ますが「うん…。」「でもやっぱりリレーも1番が良い。」「そうだよ。勝ちたい!」と諦めたくない気持ちが増す。その思いに私も強く心を打たれたか組が苦手なバトン渡しとインコースを意識して走る特訓をする事にした。競う練習では無く1人ずつ走って走り方や渡し方を教えていった。すると子ども達も友達の走りをしっかり見て「○ちゃん速くなったね!」「今日〇〇くんのバトンの渡し方上手だったよ。」と声を掛け高め合っていた。作戦会議、特訓を経て運動会当日の朝まで子ども達は自主的にリレーをし続けた。そして迎えた本番では最初に望んでいた1位にはなれなかったが、初めての2位を取る事ができ心の底から歓喜する子ども達の姿が見られた。休みの子がおり、25人全員で走れなかったがここまで1人1人の熱意が下がることなく頑張って力を合わせてきたからこそ結果に繋がったのだ。絶対に諦めないという強い気持ちが皆を一つにし、心も体も大きく成長させていった。リレーは2位だったがたか組の子ども達の前向きな気持ちと努力を惜しまない精神は間違いなく1位であったと私は思う。

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