集団あそびと仲間関係の育ち

子ども達のエネルギーを注げるものをいつもそこに置いておきたい。そんな気持ちで今年も年間通して行ってきた集団遊び。そして今、仲間とうまく関わり合いながら、子ども自らより楽しい方へと活発に展開している(=園目標)。喜びにあふれた顔を見るにつけ、うれしさがこみあげる。が、4月にはまた新クラスで信頼関係を築く所からのスタート。そう思うと今のクラスでいる残りわずかな日々を子ども達と共に思う存分過ごしていきたい。
(ふたばの集団遊びの人数は、クラスの半分~3分の2位です。)

《年少》海賊ごっこ
この一年で遊びのレパートリーは増え、少々難しいルールの遊びも出来るようになった年少組。3学期に入ってから『海賊ごっこ』という遊びを取り入れ、それが盛り上がりを見せている。海賊ごっことは、カラーチームと白チームに分かれ、それぞれの陣地に宝に見立てたボールが数個置いてあり、それを取り合う遊びである。しかし、ただ取り合うのではなく、敵チームにタッチされるとバナナになり動けなくなるというバナナ鬼のルールも加えている。最終的に自分の陣地に宝が多かったチームの勝ちだ。始めた頃は①敵をタッチする②タッチされない様逃げる③バナナになった仲間を助ける④宝を奪う、といった動作が沢山あり子ども達は混乱状態であった。敵の陣地に宝を運んでしまったり、タッチされてもそのまま逃げてしまったりと、なかなかルール通りにはいかなかったが、回数を重ねていくと複雑なルールにも慣れ、遊べる様になった。敵を全員タッチし、宝も全て奪い勝利すると「やった!!」「宝はいただいたぞ!」ととても嬉しそう。一方負けたチームは「もう1回やろう!」とリベンジに燃えている。以前は負けると泣いてしまったり「もうやらない」と諦めてしまう事もあったが、友達と遊ぶ楽しさを味わえている今、弱音を言う子は少なくなった。敵につかまると「誰かー!助けてー!」と大きな声で助けを求め、すぐさまその声に反応し助けが来る。又「しまった!宝が無くなってる!」「よし、取り返しに行こう!」と声を掛け合っている。この遊びはチームワークがとても大切だが、これまで集団遊びを通して友達関係が深くなっている子ども達には自然とそれが出来ていた。1クラスよりも他クラスを交えて遊ぶと更に楽しさは増し相乗効果でより活発になる。こちらも負けまいと担任も必死になるあまり、間違えて仲間をタッチしてしまったり、逆に敵を助けてしまい「先生違うでしょ!」と子どもに突っ込まれてしまう事もしばしば。遊びが終わると「〇組さんありがとう!また遊ぼうね!」「うん!」「次は△組ともやりたいなぁ。」と自ら友達の輪を広げようとしている。これからも仲間と刺激し合い充実した日々を過ごし成長していってもらいたい。

《年中》ドッチボール
ドッチボールを教えた秋頃は「うわー!当たっちゃう!!」「怖い。」と逃げるのに必死で皆でコートの隅に固まっていたり、当たって外野に出ると飽きてしまい、「〇ちゃん見て!」「ははは!変な顔!!」と会話に花が咲いてしまったりしたが、今この時期の子ども達は全く違う。ドッチボールをしようと決まると“早く遊びたい”という気持ちから自分達で分担してボールや線を引く水を用意したり、コートを描いたりする。「あれ?何か(コートが)変な形になちゃった!」「本当だ。あはは!」「でもいっか。」皆で協力し準備する時間も楽しんでいる。「カラーチーム集まって!元外野決めよう。」「人数多いから2人で良い?」OK!白チームも元外野2人にして!」「分かった。」「ジャンパーソン(ジャンプボールをする人)やりたい人!!」「はーい!!」「沢山いるから多い勝ち(※)で決めよう。」と日々繰り返し遊んできた事で、こちらが声かけしなくても進められる様になった。遊びが始まると「〇くん、そのボールバウンドしたから取って!」「うん!!」と声を掛け合いボールに食らいついていったり「外野、当てて戻ってきて!パス!!」「OK!よし当てるぞ。」と仲間を増やす為に考えて外野にパスを出したり、内野の子も「固まってると危ないから広がろう!」「あ!!〇ちゃん後ろボール来てる!!」  「きゃー!!危なかった…ありがとう!」「うん。お尻向けると見えないからね。」とコツを教え合っていた。時には自分が取ったボールを「Aちゃんまだ投げてないよね。どうぞ。」と渡し「ありがとう!」「Aちゃん頑張って!」と同じチームの皆も応援する。「うん!えい!!」と投げたボールは力が入りすぎて狙った所に行かず、Aちゃんががっかりしていると「耳の横から体を動かさないでぐっとボールを押すと良いよ!」「次、頑張ろう。」と励まし合う姿が温かい。ドッチボールが大好きになった年中の子ども達は自分から年長のドッチボールに入れてもらいに行ったり、意欲的に遊ぶ様になってきた。それは仲間と遊び楽しむ中で安心して自分を出せる様になったからこそだ。

※多い勝ちとは…一番多くでたジャンケンの種類(グー、チョキ、パー)の勝ち。

《年長》缶けり
以前は缶(絵の具のプラスチック容器)を1コで遊んでいた子ども達。しかし3学期ともなると活発に動き、よく周りが見えるので1コでは物足りない。その為どのクラスも複数の缶を使って遊んでいる。いつもの様に3コの缶で遊んでいたのだが、カラーチームが何度も缶を蹴りにくるので、なかなか全滅にならない。悔しがった白チームはなんと缶を6コに増やしたのだ。「この缶どうやって守る?」と仲間に問いかけるAちゃん。「バラバラに置くのはどう?」「でも守る人は3人
しかいないよ?それだったら1コ踏んでる間に他の缶蹴られちゃわない?」「そんな言葉を聞いていたこちらも「確かに…。」と納得してしまった。「ねぇ、守る人か3人だから2コずつを3ヶ所に置くのはどうかな?」とB君の提案に皆、賛成。それだけでなく「その2コを同時に踏めるようくっつけて置いたらいいんじゃない!?」とこの様に置く事が決まった。そして始めて見るとカラーチームに蹴られる事はあっても6コ全て倒れる事はない。あっという間に全員捕まり白チームの勝ちとなった。するとカラーチームも負けてはいられないと、すぐに作戦を立てる。「1人で行ったら全部蹴れないから大勢で行こう!」「僕の後ろに隠れて蹴りに行けば見つからないじゃない?」「帽子交換(※)は絶対した方が見つかりにくいよ。」などと沢山の意見が出て実戦してみる。仲間と上手くいった時の喜び、失敗した時の悔しさを共に感じ、新たに作戦を考え、また実戦。捕まえたり逃げたりの繰り返しで良い勝負となり、諦めずに挑戦する姿はとてもたくましくこちらも嬉しくなる。この様に遊びの中でもお互いに刺激し合う事で皆でより楽しい遊びへと変化させていっている。先日も年長合同で缶けりをした時、ある子が「先生達で白チームやってよ!」と提案し担任VS子どもでやる事に。こちらは4人ということでより気合いが入る。が、やはり大勢の子ども達にはかなわない。全滅したと思いきや、なんと植木の茂みに隠れている子がおり、負けてしまった。「全然わからなかったー。」と悔しがる担任達をよそに子ども達はイエーイ!と大喜び。クラスの枠を越え、友達と抱き合う姿があった。そんな姿にリベンジに燃える4人だった。日々の遊びや行事を通し仲間と共に成長してきた今だからこそ喜びも一段と大きい。最後まで楽しい時間を共有できる様、子ども達と残り少ない日々を過ごしていきたい。

※帽子交換とは、カラー帽子を他のクラスと交換すること。

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