《年少》
入園から1ヶ月が経ち、幼稚園に少しずつ慣れてきた子ども達が、午前保育の期間から楽しみにしていた、初めてのお弁当の日。朝登園してくると『お弁当持ってきたよー!』『ママが作ってくれた!』『アリエルのお弁当箱だよ!』ととても嬉しそうな表情で話してくれた。初めの頃は『お弁当袋を出したらまず鞄を椅子に掛けるんだよ。』『準備が出来たら机にお腹ぺったんするんだよ。』とこちらが1つ1つ細かく説明し、皆で一緒に準備を進めていく。皆で『おべんとうのうた』を歌い、一斉に食べ始めるが、初めの頃は落ち着いて座っていられない子、食べさせてほしくて、ニコニコお弁当を見つめて中々食べ始めない子、嫌いな物とずっとにらめっこしている子と、様々だった。しかし幼稚園でのお弁当の時間にも慣れた今では『誰が大きなお口で食べているかな~?』と声を掛けると、『僕はライオンだよ!』『私も大きなお口だよ!ほら!』と友達から刺激を受けパクパク食べ進める姿も。お弁当の準備も『先に鞄を掛けるんだよね。』『もうお腹ぺったんしてるよ!』『次は牛乳取りに行くんだよ!』とこちらが声を掛けなくても自分達で出来る様になってきている。まだまだ食べ終わると机の下がご飯だらけだったり、気付くと手づかみになってしまったり、食べ終わるまでに時間がかかることもあるが、皆で食べる事で少しずつ成長している子ども達。お昼の時間もクラスの友達と関わりを深める大切な時間にしていきたい。
《年中》
『それでは皆さんご一緒に…』『いただきます!』元気な挨拶と共に、それぞれ食べ始めるお弁当。『今日は何が入っているかな?』とワクワクしながら、お弁当の蓋を開けると…『あ!おにぎり一緒だ!』『ほんとだ、私のは鮭だよ!』『僕のは塩むすび!一番好きなんだ♡』…とまるで宝箱を開けたかの様に目をキラキラさせている。ある日のお弁当では『何でこんなに美味しいんだろう!』と言う子がいたので『うーんどうしてだと思う?』と皆に聞いてみると『きっとママが作ってくれたからかも!』『皆で食べるから美味しいんだよ!』『確かにそうだね!』と温かい答えが沢山返ってきた。お弁当の時間には毎日楽しい会話に花が咲く。そして、お弁当が終わると、空になったお弁当箱を担任に見せ、『はなまるちゃん』をもらうのだが、ある日担任の隣でお弁当を食べていたA君が、『僕もはなまるしてあげる!』と担任や友達に『はなまるちゃん』をしてくれた。担任だけでなく友達にもしてもらえることがとっても嬉しそうな子ども達。その日からA君が、毎日皆にはなまるをしていると、段々とクラス中に広まり、今では皆でお弁当チェックをし合うようになった。このはなまるチェック、実は担任毎にアレンジが加わり、クラスオリジナルになっている。『○○組の時はぴっかりーんだったよー!』『○○組は、はなまるぴっ♪』今では年少の時のはなまるや、『新しいの考えた!はなまるぎゅっぎゅ!』とオリジナルを披露してくれたりと、お弁当の時間を最後まで楽しんでいる年中組である。
《年長》
ある日の給食の時間。『これ苦手なんだよなぁ…』とAちゃんがつぶやく。お弁当と違い、給食には苦手な物が入っている子も多い。しかし、そんな声が聞こえると、すかさず周りの子から『半分頑張ってみる?』『私も苦手だけど半分食べたよ!』『私は好きなのと一緒に食べたら食べられる様になったんだ!』などと励ましの声がかかる。そーっと食べてみると『あっなんだか今日は頑張れるかも!』とパクパクと食べ始め、友達の声がパワーになり、完食する事ができた。『すごいじゃん!』『かっこいいね!』などと皆に褒められて、とても嬉しそう。またある日には、『今日暑いから、お弁当の後どろんこやろうよ!』と、午後はどろんこパンツをする事に決まった。すると“いただきます”をするやいなや、『あー早くどろんこやりたい!』の大合唱。『みんな早く出来る様に頑張れー!』と声を掛け合う。皆の声が届いたからか、びっくりするほど早く食べ終わり、思う存分どろんこを楽しめた。担任から声を掛けるだけでなく、子ども同士で褒め合ったり、声を掛け合う事で苦手な物も克服できたり、食べるスピードまで変わってしまう。これが皆で食べる醍醐味である。今後も子ども達が楽しく食事が出来る様見守って行きたい。