集団あそびと仲間関係の育ち

 子ども達のエネルギーが注げるものをいつもそこに置いておきたい。そんな気持ちで今年も年間通して行ってきた集団遊び。そして今、仲間とうまく関わり合いながら、子ども自らより楽しい方へと活発に展開している(=園目標)。喜びにあふれた顔を見るにつけ、うれしさがこみあげる。が、4月にはまた新クラスで信頼関係を築く所からのスタート。そう思うと今のクラスでいる残りわずかな日々を、子ども達と共に思う存分過ごしていきたい。(ふたばの集団遊びの人数は、クラスの半分~3分の2位です。)

《年少組》 ゲーム屋さんごっこ
 今では大勢での遊びも子ども同士で協力し合いどのクラスもみるみる楽しい方向へと展開していく。ある年少組での事。「今日はゲームやさんやろう!!」そうと決まれば早速準備開始。「(わなげの)わっかは新聞で作ろう!」「わっか入れる棒の所は何で作る?」「トイレットペーパーの芯は?」着々と準備が進む。手を動かしながらも、テレビや食べ物の話など楽しい会話も止まらない。「ここは何点にする?」「うーん52点。」「こっちは1番難しそうだけど何点にする?」「7点!」と思わず笑ってしまいそうだが、子ども達は真剣そのもの。ボーリングも加わり、お店の準備ができると早速他クラスへの呼び込み開始。部屋に残っている子達は、お客さんになる子もいれば変身グッズを使ってお店屋さんに早変わりする子もいる。「ここはボーリングですよ!!」「大人はここから投げて下さいね。」見ると子どもの場所から1m程後に大人の立ち位置テープがはられている。その少し前には年長用テープまではられ3段階になっている事には驚く。「わなげは2コ投げていいですよ。」「難しかったら、ちょっとだけ前に出てもいいです。」と接客もバッチリ。この様な1つの遊びでも、良く見るとごっこ遊びが大好きな子が率先して接客し、製作が得意な子が材料集めに走り、絵を描くのが好きな子が看板を作り、体を動かすのが好きな子は呼び込みをしたり、お客さんに徹する。それぞれの得意な事を発揮する事で遊びが発展しているのが良くわかる。そして友達を見て、自分もやってみる。仲間が沢山いる集団遊びだからこそ、共に刺激し合い、盛り上がるのだ。

《年中組》 ドッチボール
 「いくよっ!」と相手コートめがけて勢いよくボールを投げる。担任でもヒヤッとする程のスピードだ。「くるぞー!」「私、よけるの上手いから大丈夫。」「あー、ドキドキするー。」いろいろな所から声が上がる。作戦を立てて「足の方をねらっちゃおうよ!」「取りにくいしね。」「先生を先に当てちゃおうよ。」「それいいねー。」と外野と内野で早いパス回しをし、連携したりと子ども達同士での工夫も見られる様になった。やり始めた頃はボールを見失ってしまったり、当たるのが怖くて逃げ回るだけだった子ども達。しかし今では勇気を出して「絶対に取ってやる!」とかまえていたり、「○くんのボール早いから気をつけて!」「もっと、広がった方が良いかも。」と頼もしい姿が見られるようになった。また自分が取ったボールを「はい!当てちゃえ!」と投げていない子に渡し、当てた時には「イエーイ!」「やったね。」  「凄い!」と皆で喜んだりする。逆に味方が当てられた時には、「パスするから早く返ってきてー。」「仇は取ってやる!」と勇ましい。一年間共に過ごしてきたからこその自然なやり取りがたくさん見られる。最近では、他クラスとも遊ぶ事が増えた。中でも年長は固いボールを使う為、スピード感や当たった時の感覚が違い最初は圧倒されていた。しかし慣れてくるとボールを取ろうとしたり、当たって痛くても涙もこらえ立ち向かう様になった。色々な所で刺激を受け、さらにヒートアップしている年中組である。

《年長組》 爆弾鬼
 1学期からよく行っていた爆弾鬼(鬼が持つボールに当てられたら鬼をチェンジするゲーム)。3学期にもなるとさらに遊びを楽しくしようと、ルール追加の案が出る。「2回当てなくっちゃダメってルールは?」「(ボールを当てた後に)ジャンケンするのはどう?」更には「指相撲も楽しそうじゃない!?」「コチョコチョするのは?」とユニークなものまで。そして実際に試し良かったものがルールに加わっていく。今どのクラスも共通しているのがジャンケンだ。ボールを当てられるとジャンケンをし、勝ったら逃げ、負けたら鬼になる。投げる技術だけでなくジャンケンの運も関わってくるのでなかなか難しくて面白い。向こうではダンボールを盾にしながら、逃げる子に鬼は何度もボールを投げるが、ブロックされて当たらない。「まいったかぁー!」と相手が喜んでいると鬼はすぐに仲間を引き連れ挟みうちに。1人の鬼がフェイントをしている間に、もう1人が一瞬の隙をつきボールを当てる。見事な連携プレーに思わず感心してしまう。そして鬼がジャンケンに勝つと「よっしゃぁー!!」と仲間とハイタッチ。協力して手に入れた勝ちだからこそ、喜びも倍増する。そして問題が出てくると「ジャンケンしてる所を待ちぶせしてるのはナシにしょう。」「オニ返し(ボールを当てた人にすぐ当て返す事)もダメ。」「ボールをキャッチしたら、ジャンケンしなくてもOKね。」と子ども達ですぐに話し合い、ルールがまた付け加えられさらに遊びが盛り上がっていく。またずっと鬼をしている子がいると「僕に当てていいよ。グーを出すからパーを出して勝ってね。」と耳打ちをして鬼を変わっている。楽しさを皆で共有する為にその場に合う仲間への思いやりがさりげなく行われる。一年が終わろうとする今、集団での成長を実感する日々である。

=仲間とやりとりしながら自分達の力で楽しさを大きくしていく経験。その中で味わう喜びこそが仲間との共有を深め、思いやりの心を生む土台となる。一年を通した子ども達の姿を見ていて毎年思う事である。=

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