その先へ

 作品展シーズンは絵画製作続き、中には苦手な子もいる。先日作った動物に楽しくなる服を着せるというあるクラス。私もとび入り参加してみた。が、逆の立場だと大人でもしばらく悩み動けない。どんな服の形にして模様はどうしよう。欲しい紙の色がないと欲しいとい言えず、時間が過ぎれば焦る。そんな時「帽子にフワフワつけるといいんじゃない?」子どもからのアドバイスもとっても助かる。向こうの子の水玉かわいかったから私もつけよう、まねもする。

だが1つ着手すると案外手が動き出し、少しずつ進み出す。次は何色の水玉つけようかな。何だか少し楽しくなってきた。だんだん服が華やかになる。もっとつけてみよう。やる気がでてきた。「あ、かわいい!」と子どもからほめられて喜び、「カチューシャつけてみたら?」と言われ、帽子にカチューシャ?と思ったがつけてみる。ゴージャスになった。

~そんなやりとりも、周囲の作業具合も子ども達は互いに見聞きする。お隣さんと服の色、模様1つだけを同じにした子は、その後自分なりの模様をつけ足している。こちらも帽子や服の一部だけ同じ子が何人かいる。出だし、しばらく動かなかった子達だ。が、1つ手をつけるとやはり事が進む様でもう自分の世界に入り、その先はこの色、この間隔でと行っている。それはついさっきまでの私、心情が直に伝わる。そして皆が昼食前の片付けをする中、どうしてもあと2つ模様をつけると言ってやりとげる子もいた。~

集団とは何とも不思議。苦手でも自分の力と周りの力で少しずつ変化をとげる。それが日々重なり、じっくり向き合える時間を過ごすとその先には困難を乗り越える経験や違う発見があったりする。苦手意識があっても色づけに夢中になったり、コツコツ根気よく行えたり、サイズを合わせきっちりこだわるのが楽しかったり、…そんな自分との出会い。その子なりの個性が光り出すのである。
もっとひいて見れば話し合いで色々なアイデアを提供する子、手伝いや片付けをバリバリする子、困った友達を助ける子、冗談を言ったり気軽に皆に話しかけリラックスムードにしてくれる子、それにのり盛り上げに一役かう子、など。1つの活動には(製作等の)メイン活動以外にも自分を発揮できる場がたくさんある。従って園では多角度からその子なりのものを認め、自信が持てる様にしていく。そして何よりも良さや広さがふくらむ集団での育ち合いに力を入れる。

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