クラスの育ちから

《年少組》クリスマス飾り
「この前やったサンタさん作りたい!」「私は輪っか!」とクリスマスへ向けさらにクラスを素敵に変身させようと参観後も皆で折り紙作りをしていったある日。私が「今日は輪飾りを沢山作ってクラスに飾ろうと思うんだけど…。」と提案すると「いいねー!」「一杯作る!」と皆賛成。そこで「先生対皆でどっちが長く作れるか競争しようよ!」と私が言うと「よーし、負けないぞ。」「先生に絶対勝つ!」とやる気満々の子ども達。作り方を確認してから早速始める。「白の方に糊を塗って…色の方とペタンして…。」と私が子ども達に教えたやり方を声に出しながら作る子や集中して黙々と作る子、「今ピンクをやったから次は青にしよう!」「僕は赤!」と友達と会話を楽しみながら作る子など様々だった。そんな中「出来た!」と嬉しそうに言うAちゃん。しかし輪っかが2つバラバラになっていて繋がっていない。「あれ?」と不思議がるAちゃんの様子を見て、近くの子達が「その輪っかを紙に通せば繋がるよ!」と言って一緒に手伝ってくれた。そして糊をつけ無事3連になるとAちゃんは「出来た!」と満足気な表情だった。「今度は上手に繋がったね!もっと長く作れるかなー?」と私が言うと「うん、頑張る!」と意気込みそして「ありがとう!」と友達へのお礼も忘れない。そんな姿を見て心がほっこりしていると「先生、のんびりしてたら負けちゃうよ!」「僕達もうこんなに長くなったんだ!」と机の上からはみ出す程の長さまで作り上げている。「えっ、いつの間に!?」と驚き周りを見渡してみるとどの机の上もてんこもりに。「大変!!急いで作らなくちゃ!」と私が焦って作るも間に合わず…。最後に子ども達のを全て繋ぎ合わせ私のと比べると、なんと私の3倍もの長さを作り上げていた。「皆の勝ちー!」と伝えると「イェーイ!!」と大喜びし、そして飾ると「すごーい、キレイだね!」「サンタさん喜ぶかなぁ?」「また作りたいね。」「うん、楽しかった!」と大満足の子達だった。又、別の日には「サンタってどう折るんだっけ?」と分からない子がいると「ここの線にピタッて折るんだよ。」と傍に行き教える子が。分からなかった子も「あっ、そうだった!」と友達のやり方を見て自分で作り上げる。そして今度は他の分からない子の所へ行き「こうだよ。」と折り方を教える姿があった。以前は自分のことだけで精一杯だったが、少しずつ周りにも目を向けられるようになってきた子ども達。そして11月に新しい友達が来たことで子ども達で手助けする姿がより沢山見られ私は嬉しく思う。これからも皆で助け合いながら様々な活動に取り組んでいきたい。

《年中組》缶けり
缶けりとは、かくれんぼのように鬼と隠れるチームに分かれる。鬼に見付かり名前を呼ばれ缶を踏まれると捕まってしまうが、鬼が缶を踏む前に缶を蹴るか、捕まっていない仲間が缶を蹴れば、また逃げられるという遊び。園では、缶の代わりにプラスチック容器を使用している。

毎日元気一杯戸外で遊んでいるたんぽぽ組。色々な遊びがある中で、その日何をして遊ぶかは皆で決める。「どろけいが良い人手あげて!」「はーい!」「1、2、3人!」「リレーが良い人手あげて!」「はーい!」「1、2、3、4…7人だね。」」と多数決で決める事が多いのだが、友達との仲が深まって来た今では、発言していない子を見付けると、「○○ちゃんは何して遊びたい?」「う~ん…氷鬼やりたい。」「みんな!○○ちゃんは氷鬼やりたいんだって!」「いいよ。最近やってなかったもんね。」「氷鬼にしよう!」「ありがとう!」と友達を思いやる優しい姿も見られる様になった。最近では缶けりという遊びが上手になり盛り上がりを見せている。ルールが少々難しい為、最初の頃はなかなか缶を蹴りに来なかったり、鬼も「○○君見付けた!」と見付けた事に満足し、缶を踏む事を忘れてしまう子が多かった。繰り返し皆とルールを確認しながら遊んでいくと徐々に子ども達の動きが変わってきた。鬼達は手分けをして「私は向こうを探して来るね!」「僕はここで缶を蹴られないように守ってる!」と分担を決めていたり、隠れている子達は「よし!今なら鬼が見てないぞ!」とより安全な隠れ場所を探し移動したりと子ども達なりに考えて動いているのだ。隠れている間では友達同士で「鬼来てる?」「ううん、来てないから大丈夫。」「見つからないといいね!ふふっ。」と小声で話していたり、私も一緒に隠れていると「先生!頭が見えてる!」「ちゃんと隠れてないと見付かっちゃうよ!「ごめんごめん!」と注意されてしまうこともしばしば。しかし、そんな会話が出来るのも缶けりの楽しさの1つである。しかし、捕まっている友達を見付けると「よし!助けに行くぞ!!」と全速力で缶へと向かい仲間を助けようとする表情は真剣そのもの。スライディングしながら蹴る姿に思わず「かっこいいー!!」と声が出てしまう。年少の頃よりも体力やスピードがアップした子ども達は、心も更に開放的になっている。残りの3ヶ月もこのクラスで楽しい時間を沢山共有し充実した園生活になるよう援助していきたい。

《年長組》魔法の言葉
子ども達にとって言葉は魔法だ。ある日、どろけいをする事になりチーム分けをした際逃げるチームが少なく「誰か手伝って!」と鬼チームに声を掛けていた。しかし鬼チームの子達もすっかり盛り上がっていたせいかその声は届かず「これじゃあすぐ負けちゃう。」」「ねえ、どうしよう。」と困っていた。すると、ある子が大きな声で「誰か足の速い人こっちのチームに来てくれたら助かるのにな。」と鬼チームを見ながら言いその声に他の子も「そうだよね!特に男の子は速いから来てほしいな。」と鬼チームをちらちら見た。鬼チームはどうするのかを見ていると「じゃあ…僕行くよ。」と控え目に声を上げたのは走りに自信を持っていないA君であった。その姿に逃げるチームの子達は「ありがとう!」「A君足とっても速いもんね。「うん!A君がいたら絶対大丈夫!!」と歓迎しA君も表情がぱっと明るくなった。そしてどろけいが始まると「先生、見てて僕の走り。おりゃー!!」とA君は自信満々に走り出し、いつも以上に仲間を助けたり大活躍していた。共に育ち合ってきた今だからこそ自然とこういった言葉掛けが出来る様になり、大切な仲間の言葉が魔法の様に響いていくのだ。普段の生活の中でも重い物を持つ子に「大丈夫?手伝うよ。」と手を差し伸べたり苦手な事を努力している子に「それ嫌いだったよね。頑張ってて偉いね。」と声を掛けたり「○ちゃんあやとり上手だよね。教えてくれる?」と聞いたり相手の事をきちんと見ているからこそ出る言葉で、その一言で互いの絆も深まっていく。また別の日、大縄をした時の事。最初は「僕30回跳べた!」「よーし、私も負けないぞ。」と自分がどれだけ跳べるかを競って楽しんでいたのだが、Bちゃんが87回跳べた時に「わー!凄い!」「Bちゃんかっこいい。」「えへへ、ありがとう。でも疲れた。」「頑張ったね!」と皆で称える姿があった。すると、そこから自分の回数だけでなくBちゃんの記録更新が皆の目標となり「次は100回目指そう!!」「出来るかな…。」「絶対出来るよ!応援してる。」とBちゃんを見守り始めたのだ。Bちゃんが跳び始めると全員釘づけで「1、2、3、4…。」と声を合わせ数えていて、中にはBちゃんと同じタイミングでその場でジャンプする子もおり、まるで一心同体だ。しかし70回位からBちゃんの顔に疲れが見え始め足ももつれてきてしまった。すると皆が「80、81、あと少し!」「Bちゃん頑張れー!!」と大きな声で精一杯の声援を送り始めたのだ。その声に応える様にBちゃんの表情にぐっと力が入り体勢を整えた。その光景は私も鳥肌が立つ程の一体感で1人の挑戦に皆の力が込もっているのを感じ胸が熱くなった。Bちゃんが107回で跳び終えると「やったー!!」「本当に凄い。」と大歓声で迎えBちゃんも今までで1番の笑顔を見せた。幼稚園での生活も残り3ヶ月、残りわずかな時間を1人1人が実りあるものになる様、私も子ども達に沢山の『魔法の言葉』をかけていきたいと思う。

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